泉岳寺 STOCK で IoT を使って場を盛り上げてみた

はじめに

泉岳寺 STOCK のご紹介

泉岳寺の駅から徒歩3分程度、落ち着いて静かな小径をゆるやかに登ると寺田倉庫さんの倉庫をコワーキングスペースに改造したオシャレな空間 STOCK が出現します。

IMG_8123入り口外観はかつての倉庫っぽい佇まい

コワーキングスペースには珍しく、業務用の本格的なキッチンが完備されていて新メニュー研究や料理教室なんかも開催できるようになっています。

新しくて明るい空間なので気持ちが良いです。6/E まではコーヒーが一杯ついて ¥1,000/日(税抜き)でオープンスペースの席が使い放題です。もちろん電源と WiFi が完備されています。

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倉庫のむき出しの柱と木目調の家具がオシャレに調和した明るいスペース

今回のイベントについて

5/27に渋谷健さん主催の異業種交流パーティーがこの STOCK で行われました。渋谷さんと弊社代表の末吉が、なにやら街での楽し気なことを企てる愉快な仲間つながりだそうで、その繋がりのおかげでクウジットはイベントの共催者として参加させていただくことができました。

クローズドなパーティーなため参加者や発表内容などの詳細は書けないのですが、多種多様な方々(IT とは限らずむしろ non IT の方々の方が多かった印象)が総勢50名以上参加されて大変盛り上がりました。立食パーティー形式でお酒を飲んだりご飯を食べたりしながら前方のプレゼンエリアでプレゼンを聞く(聞かずに後ろで飲んでいてもよい)という面白い形式でした。プレゼンディナーショー!?

IMG_0893_small前方はプレゼン後方は料理と歓談というフリーダムな場

クウジットは「街でのヒト・モノ・コトをおもしろく!」のスローガンのもと、IoT 技術を使ってイベントの場を盛り上げてきましたので今回はその内容についてお話ししたいと思います。

クウジットが考える IoT は IoH

IoH って? 〜クウジットの最近のとりくみと IoH 〜

クウジットがこの場を盛り上げるのが今回の使命。でも芸を披露するとか、有名人を呼ぶとかそういう類じゃない。クウジットのスローガンは「街でのヒト・モノ・コトをおもしろく」というのはあくまでも技術を使うというところがベースにあるのです。

例えば、位置情報技術を使って世界遺産である富士山を盛り上げたり、デジタルサイネージを使って虎ノ門ヒルズで「虎ノ門街バル」を盛り上げたりと、こういうことなのです。

STOCK ではやはりできあがったばかりの「サイネージ 2016 夏(仮称)」を中心として使いたい。そうだ、昨年末にニコニコ学会βファイナルで行った盛り上がり計測を今回用にパワーアップ(カオス化)したろ!最近 IoT がバズってるし、IoT っぽくいろんなデバイスをカオス的に繋いで同調動作させて演出してみよう。

さらに、最近クウジットは慶應大学の前野先生と幸福学を元にしたワークショップを一緒にやっています。

そう、クウジットは IoT の先にある「IoH (Internet of Happiness)」のコンセプトとその実現に力を入れ始めています。IoT はインターネット上にモノのスイッチ On/Off のようなプリミティブな情報を流しますが、IoH は Happy な気持ちや Happy となる因子をインターネット上に流して新しい感性価値を扱う仕組がつくれないだろうかというコンセプトです。実際に社会実装していくためには理念や裏付け(エビデンス)、技術、パートナーなどもろもろ必要なのでいろいろな人たちと組んで少しずつ前に進み始めています。今後 IoH を「街でのヒト・モノ・コトをおもしろく」を支える1つの柱にしていきたいと考えています。

今回 IoH 化するもの

上で偉そうなことを書きましたが、構想は大きくとも着手はできるところから。

みんなが思い描くものと実際にできるものは必然的にギャップができるのですが、いいんです。楽しいから。まず自分たちが Happy じゃないと Happiness の R&D なんてできません。

考えるより手を動かそう!今回はこれまでクウジットで作ってきたものをすべてクラウドでつなげて楽しげな演出を行います。

持ち玉ハードウェアは

  • デジタルサイネージ 2016 夏
  • コインホッパー(空実の口に魔改造)
  • ピカピカタスキ(ニコニコ超会議の間だけ持てば良いと作ったのになぜか今ではスタープレイヤー)
  • バタン(a.k.a ボタン)
  • 表情計測カメラシステム
  • D.F.センサー(人流センサー)

持ち玉ソフトウェアは

  • リアルタイム盛り上がり計測メーター
  • ランチクラウド・ルーレット(優柔不断な社員用に作られたランチ決めルーレット。手描き風なのも秀逸)

これらを協調動作するようにすべてクラウドにつないで制御するソフトをつくれば(おのさんがね!)いっちょ上がり!

つなげるものは何でもつなげる。カオスだけどいんです。みんなどうせ酔っ払ってるから。酔っぱらいにはカオスの方が馴染むんですよ。どっちもエントロピーが高いですからね。

システム構成

まず、下図のようなラフなスケッチに基づいて会場にブツを配置。全部有線接続されておらず、物理的に単独でバラバラに置かれているのがミソ。

20160610_tokyoz用

配置おっけ〜。こんな感じ。

devs
真ん中:サイネージ 2016 夏
左上:空実の口(コインホッパー) 右上:表情計測カメラシステム
左下:バタン(まあボタン) 右下:ピカピカガールズ(光るタスキ)

これらのデバイスが下図のようなシステム構成でクラウド側のサーバとつながって協調動作を行います。どんな動作をするかはのちほど。

20160610_stockevent_systemシステム全体図

さあ、各員配置について本番に向けてスタンバイです。

IMG_8034サーバコントロール PC を前に緊張を隠せない O 氏とピカピカガールズの面々

いよいよ本番

本番の流れと共に今回の IoH 演出全体の動作の流れを追ってみましょう。
後ろの方では乾杯してからずっと歓談が続いていて IoH なんかなくてもハッピー!ハッピー!カッポレ!カッポレ!な感じ。なので遠目から薄目を開けて見るにとどめておきます。

当日参加者のみなさんに配布したパンフレットも載せておきます。

STOCKイベント配布資料final  STOCKイベント配布資料final2

クウジットの出番その1 〜プレゼン盛り上がり計測〜

クウジットの出番はプレゼンのときです。今回プレゼンターは1人5分間の持ち時間で3人連続でピッチを行います。その後15分間の歓談タイムを挟んで(といっても常に裏では歓談が続いているので、そもそも歓談タイムという区切りはないけど)第2プレゼン、同じように第3プレゼンまで行われます。つまり合計9人の方々がプレゼンピッチを行います。

会場前方から聴衆を捉える表情計測カメラシステム。その鋭い電子の目は聴衆の一瞬の笑顔や顔の向きの変化を見張っています(見逃さないとは言ってない)。

IMG_0873

計測された笑顔度と顔の向きは時々刻々とサーバに送信されます。また、会場に置いてあるクイズ番組でみかけるような例のボタン(弊社ではバタンと呼ぶ。理由は割愛)を押すと今のプレゼンに明示的に「イイね!」を入れることができます。この情報もサーバに送られます。

サイネージではサーバに貯まったこれらのデータを元に盛り上がり度を算出、リアルタイムに盛り上がりタコメーターとグラフでサイネージに可視化します。会場の人もプレゼンターも直接盛り上がりを見ることができます!

貼り付けた画像_2016_06_10_16_44会場で表示していた画面の実例

※盛り上がり指標には D.F.センサー(人流センサー)も使えるのですが、今回のイベントはイベント中に人数の増減がほとんどないため盛り上がり指標には使っていません。D.F.センサーの典型的な使い方はこちら

ピカピカタスキも盛り上がり度に合わせてピカピカ光ります。このタスキはもともとニコニコ超会議のルパンを探せ!企画のために作ったのですが、いまだにさまざまなところでひっぱりダコです。光り方はこちらの動画

IMG_0876盛り上がりに合わせて光るピカピカガール弊社髭社長

そしてプレゼンが終わると、今回の目玉「空実の口」から盛り上がり度に応じて1〜3枚(空実の口がびっくりしてオーバーシュートすると4枚以上出ることも…)のコインがゲロゲロゲロっと吐き出されます。空実の口も IoT 化されているのでどこにでも自由に配置できます。出てきたコインは次のルーレットセッションで使います。

IoT版コインホッパー「空実(くうじつ)の口」

実験段階でオフィスで撮影した空実の口プロトタイプ(本番も結局同じ)

IMG_0872空実の口のいわれ

クウジットの出番その2 〜ルーレットゲーム〜

プレゼンが終わると歓談タイムになります。このときサイネージはサーバからの命令でシュパッとルーレット画面に早変わりします。IMG_0911サイネージはルーレット、イイねバタンはルーレットバタンに変身!

プレゼンをした方は空実の口からオエッと吐き出されたコインを使い、その他の会場の方々は積極的に名刺交換を行っていただき15枚の名刺を集めると1コインに交換されるルールにしました。1コインで1回ルーレットが回せます。ルーレットの商品は総額300万円以上(かも。欲しい人にはその価値がある!)の大盤振る舞い!

実はこのルーレットはクウジット社員がランチで毎日行くお店を迷ってお昼が終わるという切実な問題を解消するために開発されました。またどこかの機会でご紹介したいですが、みんなが web からルーレットに行きたいお店をリアルタイムに追加できて、みんなで回せる(止まりそうになると誰かが再度回すとか)ようになっている実はスゴイルーレット。その名もランチ喰らうど・ルーレット。

残念ながら今回はバタンは1つで普通のルーレット的な使い方になってしまいましたが、参加者の方々には喜んでいただけたようです! 1位(150万円相当かも)をギリギリかすめて外れた時はドキドキしました。

まとめ

クウジット的には今まで作ったものをカオス的に組み合わせた集大成とも言えるイベントでした。一度ノウハウついたのでこれの派生を今後またやれたら良いなと思います。ただ、イベントものは運用がそれなりに大変なのでどうやってパッケージ化して第三者にまるっと丸投げできるかも肝ですね。

当日の盛り上がりの全履歴を載せておきます。フロントのカメラだけでなく、後ろの方から歓談中の人たちを狙ったカメラからの盛り上がりも合成した会場全体の盛り上がり度になります。青い折れ線が笑顔度です。
通常の表情は笑顔度が40未満程度なので、このグラフを見る限り常に60程度ありますし、ピークは100くらいあるのでかなり盛り上がったと言ってよいかと思います。
※歓談のときにある「いいね!」棒グラフはルーレットを回したときに押したバタンのことです。便宜上同じグラフに入れてあります。

Banners_and_Alerts_と_Happiness_Showイベント全体の盛り上がりグラフ

最後に関係者で記念撮影。パチリ。

IMG_0947この時の O 氏はまだヒトであった。

空実の口はいま…

空実の口は O さんの胴体を手に入れて完全体になりました。毒も吐くしコインも吐く。

IMG_8131

めでたしめでたし。

※本イベントにおける「プレゼン盛り上がり計測」は、ソニー株式会社が開発した顔画像認識技術を利用しています。

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ヒゲ社長の甘い誘いにノッて 2014年4月に Koozyt に転職してきました。前の会社では主に音楽系や人間の感性の研究開発をやっていました。 Koozyt でもその経験を活かしたいと思っていますが、なぜか海に潜ったり寸劇やったりの日々です。